2017年5月15日月曜日

2017.04.29〜05.04 夫婦のゴールデンウィーク旅行


今年のGWはまたB級グルメの宝庫、関西方面に旅行してきた。

< 2017.04.29 >
移動初日から好天に恵まれ、屋根をあけて出発。
名古屋あたりで一時的な小嵐に遭うまで、高速道路でも気持ちよく走ることができた。

古いドイツ製5リッターV8の走りは、例えるならば、まるで鋼鉄製の空飛ぶ絨毯。
そんなアラビアンナイトのお伽話を彷彿とさせる、古典的でロマンティックな乗りものだ。

5月の陽光を存分に浴び風を思いきり楽しみながら、暖かい幸福感に浸っているうちに、あっさり大阪へ到着。
まずは1/32模型世界の多趣味人、TR4Aさんのお宅へ向かう。
https://blogs.yahoo.co.jp/jimonkenkouin

TR4Aさんとは、むかし恵比寿のRPEで出会って以来だから、かれこれ11年ほど経ったか。
そのワイドオープンかつ明朗、繊細かつ豪快な人柄が、たいへん魅力的な人物。

今回のお宅訪問では数々の作品をナマで拝見し、とても魅了された。

ディオラマを見ると、我々1/32スロッターにも見慣れたピットフィギュアたちが、ここでも和んでいた。
TR4Aさんの作風で不思議なのは、オイル臭たちこめるサーキットの喧噪というより、ここはまるで昼下がりの農園のよう。製作者のお人柄が現れるのだろうか。

聞けばTR4Aさんはレーシングカートなど実際に走らせるほうの腕前も相当なもので、決してナゴミ系一辺倒の人ではないという。
なのにモケイを作らせたらこんなに英国的な薄曇晴天かつ平和な休日アフタヌーン感が強く薫る作風。
こういうのが各地の趣味人と出会う面白さで、皆さんそれぞれに興味が尽きない深さと幅がある。
そこが面白くて、やめられない。

そしてこちら、国内モケイ界の一部で大変有名なKuni's Garage。

このファサードは私が30年ほど前MG-Bが欲しかった頃よく覗いていた英車屋に似てるなあ、たしか桃山台あたりの店名えっと何だっけな・・・なんて言ってたら、すかさずTR4Aさん「○○でしょ!実は私のトラ、あそこで買ったんですよ」とのこと。
・・・なんたる奇遇。道理で似ているわけだ。

いまでは残念ながら件の英車屋さんは廃業。なんと跡地はクルマと縁もゆかりもなくラーメン屋になってしまった。
・・・げに時の流れは悲しき。。

ひとつひとつのクルマやガレージ作品を作り上げる過程のそれぞれに思いを馳せながら、とにかく「手まめである」ということがモデラーの資質なんだというのが分かる。

イガ記者の取材にも、熱が入っていた。

いやー、スゴイ!
知っている完成品も、ナマで見るとまた新たな発見があった。
これらの一つひとつに、それぞれの苦労と工夫の積み重ねがあったことを思えば、感動もひとしお。

そこに見えるコダワリの世界に、刺激をたっぷり頂いた。


< 2017.04.30 >
明けて30日は通常営業の南摂津Sakky'sサーキットへ、いそいそと向かう。
今は無き神戸Club-Curoutoの流れを汲むテクニカル系のレイアウト。こういうリズムで走るサーキットはもう、今はここしか存在しない。

今回一番楽しみにしていたのは、むかし恵比寿RPEのマグ車レースのシリーズ戦でガチャガチャに壊れて全損廃車となり10年以上放置していたM3とか、何をやってもよく走らなかったハズレの365デイトナなどを、最近やっとノーマグ仕様で純正レストアしたのを、とにかく走らせたかった。

味わい深いハンドリングのFLYのFR車を、NINCO路面で走らせたくて仕方なかった。

なぜか。

これだけは10年以上前から現在に至るまで悲しいことに、私たち夫婦が普段の週末に走らせている首都圏のサーキットはスーパーフラットなウッドコース路面やカレラ路面ばかりで、正直、走らせること自体はノーマグでさえ簡単すぎて物足りない。

誤解されたくないが、普通なら、路面が平滑でコーナーRがゆるめで走らせやすいことは、何ひとつ悪いことではない。
ただ私たち夫婦は、長年いろいろなサーキットを経験し過ぎたせいで、激辛マニアの舌みたいになってしまった。

だから普段のラクな場所では色々と無理をして、走らせにくい仕様を考え出しては、たとえば純正プラホ+純正ゴムタイヤ限定!とか、クルマによってはウエイトなし!など、縛りを課して、走らせるのが難しいクルマをわざわざ作って、それをキレイに走らせつつ限界バトルをする、というようなことをして遊んでいる。

Sakky'sでは、ちょうど車両調整中のクマさんと、車両製作中のミヤちゃんがいたのでM3で一緒に流して遊んでもらった。
マイケルさんのZ4は、さすがイマ車。こういう違いも実車らしく、丁度いい感じだった。

巨大なバンキッシュは新たに在庫から出してきたが遅くて仕方ないので、モーターを替えてみた。

そこそこ気持ちよいスピードになったが、相変わらずビミョーなクルマだ。
ま、悪いけどVMG社が倒産するのも無理ないな。。

それともう1台、最近つくったFLYの917/10。これも走らせたくて、たまらなかった。
FLYの比較的初期の製品で、意味不明なFアクスル支持方法とガタを出しにくいバスタブシャーシで不人気かつ、走らせにくいと悪評の高かった1台。

私は特にカンナム好きというわけでもなかったし、市場での相場も不人気者のわりには高め安定。
だったら尚更わざわざ買う必要もないな・・・と、ずっと興味が薄いままだった。

ところが町田RPMBで最近お知り合いになった川鍋さんが917/10のJägermeisterを購入したのを機に、間近でじっくり見せてもらって、えらく気になったのだ。
70年代という、いかにもレースカーデザインの過渡期らしいヘンな造形が、なんだか意外とカワイイんではないか?と。

フロント半分は掃除機みたいなカッコ悪い形で、リヤ半分はカクカクボディなのに丸いオバフェンが、これもヘン。
いわゆるブサカワっていうかね。こうなればもう、アバタもえくぼ。

ただ、とにかくFLYの917/10が不人気車であることは事実なので、どこがどうタイヘンなのか確かめてみたくなり、夫婦用に2台購入してみた。

初期FLYのスペイン製品らしさ、肩に力が入りまくって不必要なところまで凝ったディテールが泣かせる。
リヤウイングのリップなんか一発で飛びそうな点留めだったり。こんなもん浅い折りの一枚板でいいのに。。
カタツムリの触覚みたいな長いミラーは・・・できるだけコケないように気を付けて走ればOKだろう。
そういってSRCのAlfa33TT12の長ーい純正センターミラーはポッキリ折った前科アリだが、それだって難なく修復して復活させたしね。

スロットカーで折れた細いプラ足なんか、どんどん金属芯を入れてやるなり、金属線に替えるなりしてやればいいのだ。
金属線の扱いなんか、切りっぱで露出さえしなければ、コースだって傷むはずがない。
だから修理や調整・改造なんかはマナーとして、コースを共有する他人のことまで考えて、きちんとケアすべき。

ちなみに私のVaillantはシャーシのアクスル受けが割れており、接着しても剛性が低くピニオンとスパーの距離が一定に保てない不良品だったが、ウエイトも載せてないわりには、それなりによく走っていると思う。

ウエイトを積んでセッティングを煮詰めた地元ローカルのクルマ達と比べると、目に見えてトラクションの掛かりがイマイチだが、もう最近は「どこに何グラム!」みたいなことは、考えることさえ面倒臭くてメンドくさくて、仕方ない。
タイヤもNだのFだの試すことさえメンドウクサイ。そんなことより、我々夫婦が遊ぶには純正タイヤをトゥルーイングするだけで充分、用が足りている。

夫婦2人の世界でしか物事を考えてないのでコンマ何秒の差をつけようと他人と競り合ってる遊びではないし、クルマが遅かろうがどうだろうが、とにかくたった2台だけ同条件で普通に走りさえすれば文句ないのだ。
あとは、手を放したらあとはクルマまかせ運まかせのミニ四駆じゃないんだから、そんなにクルマばっかり煮詰めなくてもトリガーで走らせ方を何とかすればよいと、こんなご時世だが、今も変わらずそう思っている。

一番目立つボディの横っ腹がパカパカするのだけは我慢できないので、バスタブシャーシの左右を切ってボディ側に貼ったが、他はいつもの100%純正仕様。
イマっぽく言えば、スーパーノーマルってやつ。シャーシが割れてる不良品なので、それほど自信もってイイ出来とは言えないが。

この音だと、いずれスパーがナメることが分かっているので、次はどういう仕様にしようか考えるのも楽しみのうち。
でも、純正のアクスルセットでなくスパーギヤだけのストックを持っているので、それに打ち替えて、また純正で修理するかも。
いま世界中でも、クラウンやスパーのギヤだけを、しかも純正で打ち替えて走り続けるような人が、はたして一体どれだけいることやら。
ま、そのくらいディープな味わいがあるわけだ。FLYの純正チューンというのは。
ラップタイムだけでは語れない、深い深い味わいを楽しむ世界。
もちろんコントは調整ツマミなしのシンプルなパーマなど、アナログに限る。そもそも他のコントでは、この味が指先に伝わってこないだろうけどね。

ちとCan-Amカーにも興味が出てきたので、いずれCarreraの917/30にも手を出すかもしれない。


< 2017.05.04 >
5/3に再びSakky'sを走ったあと、翌日はノリさんの名古屋スロットカーパークに向かう。
今年も松阪エレノアの中山さんと落ち合って、いろいろ一緒に走らせてみた。

中山さんのお友達の牛田さん親子も合流し、みんなで車種や速さなど全然関係なく、好きな車で一緒に流して遊んでもらった。
こういう「こだわらない」感じがまた、なんとも名古屋らしいと思う。
東海エリアはレースそのものも非常に盛んな土地だが、そんな垣根を越えて「まあ、いいじゃない」というラクさが、名古屋スロット文化の懐の広さと感じる。

1/32スロットカーの文化としては静岡Bandiniと近くて最古参の部類だし、色々さんざんやり尽くしてきたから、いまはラクに遊ぼうよと、そういうところもスペインみたいな「全盛期を過ぎた大国」を思わせる、余裕かつワビサビの境地。

やたら居心地のよいサーキットで、また長居してしまった。閉店後、中山さんとアフターも楽しみ、トータルで今年も大満足のGW旅行だった。

遊んで頂いた皆さん、大変ありがとうございました。