2014年7月2日水曜日

先週のデータ取り:スケレ70年代F1と、カレラDTM

◆スケレ70年代F1
日時: 2014.06.28@千葉SRC
車種: McLaren M23、Ferrari 312T2
仕様: ノーマグ、ウエイト適当、純正アクスル+Slot-itアルミ+S1(2)

しばらく前からSRCのカレラコースで、どんなカテゴリが、どんな仕様だと「らしく」走って遊べるのか、色々なデータ取りをしていた。



私は32スロットカーをやっていて、速く走らせることが全てとは全然、思わない。速さ重視なら、そもそも32完成車で遊ぶより速いものは、いくらでもある。

私は32完成車の世界というのはそれよりもっと奥深いゴッコ遊びだと思っているので、せっかくF1を走らせるなら、他のハコ車とは明らかに違う挙動をさせたい。いつも、そんなことを考えてクルマを作っている。F1ならモータースポーツのトップカテゴリーにふさわしい難易度と、操縦がキマッたときの気持ちよさを両立させることができたら最高だろうなと思う。

     

これは6〜7年前の港北ミナモ時代から、ずっと夫婦で走り続けてきたスケレの70年代ノーマグF1。

純正タイヤは摩耗しホイールは何回も割れたが、昔はスペアパーツが入手しやすかったので純正交換していた。オープンホイールの宿命で場外に転落してウイングも折れたり割れたりしたが、それは何度も樹脂や金属でリペアした。

修理できなくなるほど何回もアームが折れたフロントアクスルは運良く入手できたスペアと交換した。今では純正リヤアクスルのシャフト両端のギザを削って、入手しやすいSlot-itのアルミとタイヤに交換してしまった。それでもまだ現役で走らせている。人間で例えれば、骨折だらけでボルト入れまくり、満身創痍のヨボヨボじいさんという感じだ。

いいかげん新車でキレイに作り直したいが、今ではこの2台もオークション相場では気軽に手が出せない値段になってしまった。

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◆カレラDTM
日時: 2014.06.28@千葉SRC
車種: BMW M3、Audi A5
仕様: ノーマグ、ノーウエイト、純正プラホ+純正ラバー接着TR(2)

世界中を見渡しても、カレラコースでカレラ車両を走らせて盛り上がっているところが無いのは不思議なことだ。しいて言うとドイツは、やはり本国だけあってデジタルとか多少の盛り上がりがあるようだが、ドイツ国内では他のヘンな規格もいまだに生き残っているので、やはり本国でのカレラ事情はちょっと特殊と思ってよいだろう。第一、盛り上がっているといってもノーマグノーウエイトに純正タイヤのままで大人が楽しく走っているという話は、さすがに聞いたことがない。
聞いたことがないだけで、どこかにはあるのかもしれないが、大体ドイツというのは32よりプラフィット24のほうが強い国だ。

イキナリそう言ったら語弊があるかもしれないが、カレラ車両に対する世界的な認識は、マグ付きかインディグリップ、あるいはリヤ総とっかえ。そんな感じではないか。少なくとも私の経験では、カレラ車両の磁石を抜いたら、純正アクスル純正タイヤのままではどうしようもない印象だった。

しかし去年SRCで素晴らしいカレラコースを知ってからは、いつかカレラ純正タイヤでじっくりカレラコースを走り込んでみたいと思っていた。

私はBMWファンでも何でもないが、ある日とつぜんDTMの白いアナログM3が欲しくなって探し始めた。M3の国内在庫は殆どのお店が黒のデジタル。今回はヤフオクや東雲で精力的に活動されているグロアップさんから、アナログのカッコイイDTM車両を購入した。



前後タイヤとも、まずは接着&トゥルーイング・・・で上の画像は1回目。
あまりにも気持ちよく粉になって削れるタイヤを、削りすぎてフロントサイドのレターを消してしまった。

イガのA5は問題なく仕上がったが、私のM3のほうは、ホイールのセンターリブが露出するほど削れてしまい失敗。走りに影響なくてもプラホが路面と当たってガーゴーうるさいので、仕方なく世界中の在庫を探し、USAからM3アクスル&ハンコックタイヤを仕入れて、再び削り直した。

削り直した純正タイヤで走ったノーマグノーウエイトカレラDTM(とNINCOの997が伴走)の動画が、こんな感じ。

     

まあ「カレラだから、こんなモノ」と思って走らせるなら、さほど大きな失望は感じないと思う。私には本物のDTMらしい、全然ロールしてるように見えないアイロンのような挙動が気に入っている。

新車を簡単にパーツ交換しないで、まずは純正の可能性と限界をいろいろ探ってみるという遊び方が、今年のマイテーマ。そんな自分への厳しい試練としては、カレラは最適だ。ただカレラで惜しいのは、国内にアクスル&タイヤ在庫が少ないことだ。

まあカレラをノーマグノーウエイトで走らせようという時に、インディほか社外タイヤが沢山あるにも関わらず、頑なにわざわざ海外から純正アクスル&タイヤを輸入して何回も作り直すような変人は、世界でも少数派か。夫婦そろって「簡単によく走るクルマだと超ツマラナイ派」なので、こればかりは仕方ないことだ。

ただ何度も言っているが、私たち夫婦の走りだけを見て、私の真意を知らぬままノーマグの車作りだけ真似をしても、ちっとも楽しい車にならないので、本当にやめたほうがよいと思う。
他人とレースをする人には、向いていない車作りだ。速さを求めているわけでは全然ない。

他人のレース車両まで全て性能を揃えて作れるような達人なら、私が何を言ってるか分かるかもしれない。私のやり方は、速さのためではなく気持ちよい走りのためだけに、お金よりは膨大な手間をかけているだけだ。

いまは色んな社外パーツが豊富に出回っている恵まれた時代。だから買った車がちょっとでも走りが悪いと、すぐパーツを交換してギンギンのチューンドカーにすることは、むしろ簡単。

しかし、まずはパーツや磁石なんかいじってないで自分の腕を鍛えるとか、純正部品のままでも調整を工夫してみるとか、私は1/32のスロットカー遊びというのは、そういうのが本筋だと思っている。はっきりいって、古い人間だ。でも、もっと古い頑固な先輩から見たら私なんか、かなり「軟らかい」ほうだ。

モノでも人でもすぐに「使えない奴!」とバッサリ切り捨てる社会より、もっと対話できる社会のほうが幸せなんじゃないだろうか。最終的には諦めてサジを投げるとしても、やはりそれなりにアレコレやってみなきゃ深いところは分からないと思うし、そこまでトコトンやりきるには、ある程度の時間だってかかるものだ。

しかし時間をかけて付き合っていく過程で、自分も何かを発見したり教えられたり気付いたりすることだってあるし、ヒトやモノとのそういう向き合いをたくさん積み重ねることで、自分より外側の世界に対する理解や愛情がより広く深くなっていくのだと思う。

私は、そういう人間だ。