2013年6月28日金曜日

NSR Abarth 500 F1 Tribute

柏の某店がまだ32専業だった頃、アメリカンというロングコースがあった。新規OPEN店舗のわりに相当年季の入ったNINCOコースだったが、ところどころ通電の悪さや路面のアンジュレーションによる予測不能な挙動変化まで、まるで神戸CUROUTOそのままという雰囲気が漂っていた。

柏の某店オーナーにコースの入手経緯を訊ねてみると、まさに元はCUROUTOにあったものが、間にワンクッションあって、流れてきたのだという。

こういう話をするときにいつも不思議なのだが、そのワンクッションが誰かというようなことを、みんな隠したがる。誰が仲介したか知ったからといって、誰が損をしたり迷惑になったりするというのだろう?ふだん様々なレベルで政府機関の機密情報も扱う仕事だが守秘義務があって口が固いのが当たり前な私のような情報のプロから見ると、そういうシロウトの隠しごとのやりかたは見ていてちゃんちゃら可笑しいし、正直ちょっと不愉快なぐらいだ。ま、それはさておき。

そのスリリングな走り味が懐かしくてたまらず、アメリカンが撤去されるまでは夫婦で土日とも、よく通い詰めたものだ。

当時そこでは、NSRアバルトのマグを抜いて遊んでいる人が何人かいた。オススメされたので試しに走らせてもらったら、あんな背の高い車なのに超ッ速で驚いた。

多少のシケインなら、ちょっとぐらい無理めに突っ込んでもチャチャッと鼻を入れていって難なくクリア。金属のレールにモーターのマグネットエフェクトが効いているのか、まるでマグ車のような安定感だった。

去年32の聖地バルセロナに行ったときは、日本国内でのイメージと違って、営業コースではトコトコ系なんか走らせている人は1人もいなかった。どころか年寄りから若いのまで皆んなNSRのC6Rか997だったことに驚き、実にあきれた憶えがある。

しかしこうして自分で実際に走らせてみると、こんなにラクで速いなら、誰でもNSRに夢中になる気持ちが少しぐらいは、分かる気がした。

正直いままでNSRに対しては喰わず嫌いだったなと感じ、さっそく私も柏の某店にてその場で2台を購入。



箱から出して磁石を抜いただけの状態で、ものすごいスピードですぐに走り回れる手軽さとパフォーマンスの高さに驚いた。

ここ5年ぐらいでスロットを始めた人だと、こういうクルマで入門していたりするのだから怖い。これでは年々、FLYやチーを今のような社外パーツやトゥルーイングの知識など全くなかった時代に何とかまともに走らせようと苦労したような昔話が通じる人が減ってくるのは無理もないことだ。

よくあることだが、2台一緒に買ったのに私のほうはアゴがはずれて落ちそうなほどのビックリはずれモーターだった。イガだけでなく、柏で走らせている他の人たちと比べても、なぜか極端にトップスピードが低かった。そのわりに遅い遅いと思っていつまでも全開にしていると気まぐれに突然ピーキーに吹け上がったりする。

買ったお店でシャーシをあけてみると、早くもモーター周辺からカナくさいニオイがたちのぼっていた。家に帰って改めてブレークインをやり直したものの滑らかな回転にはならず、トップエンドも不安定に上下するひどさだった。

・・・新品なのに、このモーターは既に終わっている。ガッカリしたが今の遊び方はレースでコンマ1秒を争っているわけではないので、さしあたりはこのままで走らせるつもりだ。

普段の追いかけ遊びなら、トップスピードに余裕があって三味線走りで合わせるようなつまらなさよりは、むしろハンデのあるマシンで一生懸命に汗をかくほうが、私は楽しめる。